公開日:2025-10-24 更新日:2025-10-24

展示会ブースの照明テクニック完全ガイド|レンタルや種類、選び方

展示会に出展する際、ブースのデザインや配布資料、展示品など、様々な要素に力を入れることでしょう。しかし、見落とされがちながら、ブースの印象や集客力に絶大な影響を与えるのが「照明」です。

本記事では、展示会で成功を収めるための照明テクニックを徹底解説します。照明の重要性から基本的な種類、効果的な選び方、具体的な配置方法、よくある失敗とその対策まで、網羅的にご紹介します。

株式会社ストラーツなら、経験豊富なエキスパートが企画から運営までをトータルでサポートし、限られた予算でも効果的な照明演出を実現できます。コストを抑えながらも高品質なブースづくりで、来場者の心をつかむ展示会を支援します。ぜひご相談ください。

目次

1. 展示会ブースにおける照明の重要性

展示会ブースにおける照明の重要性について解説します。

(1)第一印象と視線誘導

展示会場に足を踏み入れた瞬間、来場者の視線は様々な情報にさらされます。その中で、遠くからでも「あっ、気になるブースだな」と思わせ、興味を引くための「顔」となるのが、ブースの照明です。

①「看板」としての役割

ブースのサインやロゴに適切な照明を当てることで、遠くからでも認識しやすくなり、来場者を自然とブースへと導きます。照明がなければ、せっかくのブースデザインも埋もれてしまう可能性があります。

②視線誘導の効果

照明は、来場者の視線を意図した場所に集める力があります。最もアピールしたい展示品、魅力的なデモンストレーション、あるいは重要なメッセージにスポットライトを当てることで、来場者の関心を効果的に誘導し、ブース内での滞在時間を延ばすことができます。

(2)製品・サービスの魅力を最大限に引き出す照明の力

照明は、単にブースを明るくするだけではありません。展示されている製品やサービスの魅力を、来場者に最大限に伝えるための「演出家」としての役割も担います。

①素材感・質感の演出

金属の光沢、布の柔らかさ、食品の瑞々しさなど、製品の素材感が持つ魅力を、光の当たり方や色味で巧みに引き出します。例えば、高級感を演出したい製品には、暖色系の落ち着いた光が適しているでしょう。

②色・形状の強調

製品本来の色を正確に、かつ魅力的に見せるためには、演色性の高い照明が不可欠です。また、スポットライトなどを活用することで、製品の立体感やフォルムを際立たせ、より魅力的に見せることができます。

③ターゲット層への訴求

ターゲットとする顧客層がどのような印象を求めているかを理解し、それに合わせた照明を選ぶことが重要です。例えば、BtoB向けの展示会では信頼性や先進性を感じさせるシャープな光、BtoC向けでは親しみやすさや楽しさを伝える明るい光などが考えられます。

(3)ブランドイメージと空間演出

照明は、ブース全体の雰囲気を決定づける最も重要な要素の一つです。それは、単なる明るさの調整ではなく、空間全体に「物語」を与える力を持っています。

①コンセプトの具現化

企業のブランドイメージや展示会のコンセプトを、照明の色、明るさ、配置によって空間全体で表現します。洗練されたモダンなイメージ、温かく親しみやすいイメージ、あるいは革新的で未来的なイメージなど、照明によってブースの「個性」を際立たせることができます。例えば、企業のコーポレートカラーを照明の色として取り入れたり、特定のトーン&マナーに合わせた光量や配光を工夫することで、ブランドの世界観を視覚的に表現し、来場者に強い印象を与えます。

②没入感の創出

照明の巧みな演出は、来場者をブースの世界観に引き込み、より深いブランド体験を提供します。例えば、特定のゾーンに柔らかな間接照明を施したり、展示物へ向かう光の筋道を作ったりすることで、空間に奥行きとストーリーが生まれ、来場者はその世界観に自然と引き込まれていきます。これにより、単なる情報収集の場にとどまらず、ブランドの世界観を深く体験できる「記憶に残る空間」を創り出すことが可能になります。

(4)来場者の快適性と滞在時間の延長

展示会は、来場者にとっても、出展者にとっても、長時間にわたるイベントです。ブース内の快適性は、来場者の満足度や滞在時間に直結します。

①過度な暗さを避ける

「暗いブースは入りにくい」「何があるか分からない」と感じさせてしまう可能性があります。適度な明るさを確保することで、来場者は安心してブースに入り、展示物をじっくりと見ることができます。

②居心地の良い空間

照明の質感を意識することで、来場者に「心地よさ」を提供することが可能です。暖色系の柔らかな光はリラックス効果を高め、長時間の立ち仕事や情報収集による疲れを和らげます。また、適切な明るさと色味は、ブース全体の清潔感や高級感を演出し、ブランドイメージの向上にも寄与します。このように、照明は来場者の心理状態に影響を与え、ブース体験をよりポジティブなものへと変える力を持っています。

2. 展示会ブースで用いられる照明の種類と特徴

展示会ブースの照明計画を立てる上で、まず知っておくべきは、どのような種類の照明があり、それぞれどのような特徴を持っているか、ということです。目的に合わせて適切な照明を選ぶことで、ブースの魅力を最大限に引き出すことができます。

(1)全体照明(ベースライト)

ブース全体の均一な明るさを確保するための基本的な照明です。会場の天井照明だけでは、ブースの位置や構造によっては影ができたり、暗く感じられたりするため、ブース内に全体照明を設けることが一般的です。

①主な種類

  • ダウンライト: 天井から床に向かって光を落とすタイプ。空間をすっきりと見せ、均一な明るさを提供します。
  • パネルライト: 薄型のパネル全体が発光するタイプ。柔らかな光で、空間全体を均一に照らすのに適しています。

②選ぶ際のポイント

  • 色温度: ブース全体の雰囲気に合わせます。自然な明るさを求めるなら昼白色、落ち着いた雰囲気にしたいなら温白色や電球色が適しています。
  • 演色性 (Ra値): 展示物の色を自然に見せるためには、Ra値が高い(90以上が理想)照明を選ぶことが重要です。

(2)演出照明(スポットライト)

ブース内で特に注目を集めたい製品、ロゴ、メッセージなどにピンポイントで光を当て、際立たせるための照明です。来場者の視線を誘導する上で非常に効果的です。

①主な種類

  • LEDスポットライト: 最も一般的に使用される照明の一つです。明るさを保ちつつ、指向性が高いため、特定の部分を効果的に照らせます。アーム型やクリップタイプなど、様々な形状があります。
  • アームライト: 長いアームが付いており、光の角度を細かく調整しやすいのが特徴です。展示物の形状や配置に合わせて柔軟に対応できます。
  • クリップライト: クリップで挟むだけで簡単に設置できるため、手軽に利用できます。パネルや什器、壁面など、様々な場所に取り付け可能です。

②特徴

演出照明により、明るさを集中させ、対象物を強調できます。また、光の角度や照射範囲を調整することで、立体感や奥行きを演出することもできます。

(3)間接照明

光源を直接見せず、壁や天井に光を反射させて空間全体を柔らかく照らす照明です。直接的な光の眩しさを抑えつつ、空間に奥行きや高級感、落ち着きを与えたい場合に有効です。

①主な種類

  • LEDテープライト: 細長いテープ状になっており、様々な場所に貼り付けて使用できます。什器の縁、展示台の下、壁面のラインなど、デザインのアクセントとして活用できます。
  • コーブ照明・コーニス照明: コーブ照明は、壁や天井の段差や「入隅」部分に光源を隠すように設置し、光を天井に反射させて空間全体を柔らかく照らす手法を指します。コーニス照明は、壁の上部に取り付けた照明器具から光を壁面に当てることで、同様に間接的な照明効果を生み出します。どちらも、直接的な眩しさを抑えつつ、空間に陰影と奥行きを与え、上質で落ち着いた雰囲気を作り出すのに役立ちます。

②特徴

間接照明は、光源が直接見えないため、デザイン性を損なわずに洗練された空間を演出できます。また、柔らかな光が空間全体を包み込み、リラックスできる雰囲気作りにも効果的です。特に木工ブースなど、ナチュラルな素材感との相性も抜群です。

(4)電飾・内照式パネル

パネル自体が発光することで、そこに表示されたグラフィックや文字を鮮やかに、そして力強くアピールする照明です。視認性が非常に高く、ブースのアイキャッチとして効果的です。

①主な種類

  • LEDパネル: パネル全体がLEDで均一に光るため、表示内容が非常に見やすくなります。薄型で圧迫感が少ないのも特徴です。
  • 内照式パネル: パネルやロゴの内部から光を当てることで、デザインや文字を際立たせます。壁と一体化させたり、立体的なロゴにしたりと、デザインの自由度が高いのも魅力です。

②特徴

電飾や内照式パネルは、強い視認性を発揮するとともに、デザイン性の高いブース演出が可能です。特に大型のパネルを設置したい場合、壁を建てたり、壁面を印刷したものを貼ったり、照明を設置するといった複数の工程を、内照式パネル自体がこれらを兼ねることで集約できる場合があります。これにより、施工の手間を短縮し、スムーズなブース設営に繋がります。

(5)特殊・装飾照明

上記以外にも、ブースに特別なインパクトや個性を与えるための照明があります。これらを効果的に使用することで、来場者の記憶に強く残るブースを作り出すことができます。

①主な種類

  • LEDテープライト(装飾用途): 前述の間接照明としても使われますが、カラフルなLEDテープライトは、ブースの装飾やアクセントとして、デザイン性を高めるために活用されます。自由にカットできるため、曲線的な什器などにも対応しやすいです。
  • カラーLED: ブースのコンセプトやブランドカラーに合わせて、様々な色の光を演出できます。
  • ムービングライト: 光の動きや方向が変化する照明で、ダイナミックな演出が可能です。ただし、使用には専門知識や会場の許可が必要な場合が多く、過度な使用は逆効果になることもあります。

②特徴

装飾的な照明はブースに動きや変化を与え、視覚的なインパクトを高めます。また、他ブースとの差別化を図るのに役立ちます。

3. 展示会ブースにおける照明の選び方・計画の立て方

照明の重要性、そして様々な種類があることを理解した上で、次に重要なのは「どのように自社の展示会ブースに最適な照明計画を立てるか」です。ここでは、段階を踏んで具体的な計画を立てるためのステップをご紹介します。

(1)展示会の目的とブースコンセプトの明確化

照明計画は、まず「なぜ展示会に出展するのか?」という根本的な目的と、ブースで何を伝えたいのかというコンセプトを明確にすることから始まります。

①目的の再確認

目的によって、照明で強調すべきポイントや演出方法が変わってきます。例えば、新商品発表であれば、その商品の特徴を際立たせるスポットライトを効果的に使用し、注目を集める演出が考えられます。一方、ブランドイメージ向上を目指す場合は、統一感のある洗練された照明で、空間全体に高級感や信頼性を醸成することが重要になるでしょう。

②ターゲットオーディエンスの分析

年齢層、業界、役職、興味関心など、どのような来場者にブースへ来てほしいのかを明確にします。そのうえで、ターゲット層がどのような照明や雰囲気に魅力を感じるかを想像してみましょう。

③ブースコンセプトとの連携

ブース全体で表現したい世界観やメッセージを明確にしましょう。例えば、「最先端技術」をアピールしたいなら、シャープでクールなLED照明やブルー系の光が効果的かもしれません。一方、「親しみやすさ」や「温かみ」を伝えたいなら、電球色や間接照明が適しています。照明は、ブースコンセプトを視覚的に補強する強力な手段となります。

(2)展示物と空間の分析

次に、ブースに展示するモノと、それを配置する空間そのものを詳細に分析します。

①展示物の特性

展示する製品やサービスの素材、色、形状、そしてそれらが持つ本来の魅力を深く理解することが照明計画の出発点となります。例えば、金属製品であれば光沢を活かすような当て方、食品であれば鮮やかさを引き出す色温度や高い演色性(Ra値)を持つ照明が適しています。

項目説明
素材金属、プラスチック、布、木材、食品など、素材によって光の反射や吸収の仕方が異なります。素材の質感を最大限に引き出す光を選びましょう。
展示物の色(暗い色か明るい色か、暖色系か寒色系か)に合わせて、照明の色温度や演色性を調整することが重要です。
形状立体的な形状の製品には、多方向からの光で陰影をつけることで、より奥行きや存在感を出すことができます。
演色性 (Ra値)展示物の本来の色を正確に見せたい場合、演色性の高い照明(Ra値が高いもの)を選びましょう。特に、アパレル、食品、化粧品などの分野では重要になります。

②ブースの広さ・形状・高さ

ブースの広さは、照明の全体的な明るさや必要な照明器具の数に直接影響します。広すぎる空間に不十分な照明は、ブース全体が暗く寂しい印象を与えてしまうため注意が必要です。また、ブースの形状(例:通路に面したオープンな形状か、壁に囲まれたクローズドな形状か)によって、光の広がり方や、どこに光を当てるのが効果的かが変わってきます。さらに、会場の天井高や、ブースの最大設置可能高さを考慮し、照明器具のサイズや設置位置を計画する必要があります。ほかにも、会場自体の照明の明るさも考慮に入れ、ブース内の照明とのバランスを考えましょう。これらの空間的制約を正確に把握することが、機能的かつ魅力的な照明計画の基盤となります。

(3)照明の種類と配置計画

分析結果を踏まえ、具体的な照明の種類を選び、ブース内のどこにどのように配置するかを計画します。

①全体照明と演出照明のバランス

ブース全体に均一な明るさを供給する全体照明をベースに、見せたい部分に演出照明(スポットライトなど)を当てるのが基本です。闇雲に明るくするのではなく、メリハリをつけることが重要になります。

②コントラストの活用

ブース内の一部を明るく、他を少し暗くすることで、来場者の視線を自然に誘導し、奥行きや立体感を演出できます。例えば、最もアピールしたい商品にスポットライトを当て、その周りは少し抑えめにするといった工夫です。

③複数の照明の組み合わせ

全体照明(昼白色など)と演出照明(電球色など)、あるいは間接照明などを組み合わせることで、より深みのある空間を作り出せます。例えば、以下のような具体的な配置例があります。

対象箇所照明テクニックポイント
サイン看板・ロゴブース上部からスポットライトを当てる遠くからでも認識しやすくする。光の角度を工夫することで、立体感や陰影を出すことも可能。
展示什器・商品展示台の縁や棚の下にLEDテープライトを仕込む商品を浮かび上がらせるように見せる。足元を照らして安全性を確保する。
壁面立体的な装飾が施された壁面に、斜めからスポットライトを当てる陰影が生まれ、印象的な演出が可能になる。
ブース全体木工ブースなど、温かみのある素材を使用している場合に、電球色の間接照明を取り入れる落ち着いた雰囲気を醸成する。

(4)色温度と光の色を選ぶ

照明の「色」は、ブースの印象を大きく左右します。展示物の魅力やブランドイメージに合った色温度を選びましょう。

①色温度(ケルビン数)と与える印象

色温度とは、光の色合いを数値化したもので、単位はケルビン(K)で表されます。低いケルビン数(例:2700K~3000K)は、暖色系の「電球色」となり、温かみや高級感、リラックスした雰囲気を演出します。一方、高いケルビン数(例:5000K~6500K)は、寒色系の「昼白色」や「昼光色」となり、シャープさ、清潔感、知的で先進的な印象を与えます。

色温度特徴適した用途
昼光色(約6500K)青みがかった白色。太陽光に近く、文字や細かい部分がくっきり見える。シャープで清潔感、先進性を表現したい場合。
昼白色(約5000K)太陽光に最も近い自然な白色。活動的で、様々な用途に使いやすい万能な色。ブース全体を明るく見せるのに適している。
温白色(約3500K)ややオレンジがかった白色。落ち着きがあり、温かみのある印象を与える。スポットライトなどで、特定のエリアを優しく照らすのに向いている。
電球色(約2700K~3000K)夕日のようなオレンジ色。リラックス感、高級感、温かみを演出する。高級商材や、リラックスできる商談スペースなどに最適。

②演色性(Ra値)の重要性

Ra値は、照明が物体の色をどれだけ自然に見せられるかを示す指標です。Ra値が低いと、展示物の色が本来の色と異なって見えてしまうことがあります。特に、色を正確に伝えたい製品(アパレル、塗料、食品など)を扱う場合は、Ra値の高い照明を選びましょう。

③ブランドイメージとの適合性

企業のロゴカラーやブランドイメージに合わせた照明色を選ぶことで、ブース全体に統一感が生まれます。例えば、青系のブランドならクールな昼光色、暖色系のブランドなら温かみのある電球色などが考えられます。

(5)予算と実現可能性の検討

照明計画は、現実的な予算と実現可能性を考慮して進める必要があります。

①レンタル vs 購入

展示会への出展頻度が高い場合は、照明器具を購入する方が長期的にはコストを抑えられる可能性があります。年数回の出展や、照明の種類を頻繁に変えたい場合は、レンタルの方が初期投資を抑えられ、柔軟に対応できます。

②初期費用とランニングコスト

照明器具の購入には初期費用がかかりますが、長期的な視点で見ると、レンタルよりも総コストを抑えられる場合があります。一方、レンタルは初期投資を抑えられますが、出展回数が増えるごとに費用がかさみます。また、電気代などのランニングコストも考慮し、省エネ性能の高いLED照明などを選ぶことで、トータルの費用対効果を高めることが重要です。LED照明は、初期費用がやや高めでも、消費電力が少なく長寿命なため、ランニングコスト(電気代、電球交換費用)を大幅に削減できます。

③専門業者への依頼

照明計画は専門的な知識を要するため、ブース施工業者や照明デザイナーに相談するのが最も確実です。会場の規定、照明器具の特性、デザイン性、予算などを総合的に考慮し、最適なプランを提案してくれます。

4. 展示会ブースの照明でよくある失敗例と対策

照明計画は重要ですが、経験が浅いとついつい見落としてしまい、結果的にブースの魅力を損ねてしまうことがあります。ここでは、展示会照明でよくある失敗例とその具体的な対策をご紹介します。

(1)明るすぎる・暗すぎる

展示会場の全体照明の明るさを考慮せず、ブース内だけを過度に明るく、あるいは暗くしてしまうことは、集客機会の損失に繋がる失敗の代表例です。ブースが暗すぎると「入りにくい」「何があるか分からない」といった印象を与え、来場者の足を遠のかせてしまいます。逆に、過度に明るすぎると、落ち着きがなくなり、展示内容に集中してもらえなくなる可能性もあります。また、展示物の特性やブースのコンセプトに合わない明るさも、魅力を損なう原因となります。

対策としては、まず事前に展示会場の全体照明の明るさや会場の特性を把握することが重要です。その上で、ブースのコンセプト(例えば、高級感を演出するために意図的に暗めの空間を作る場合など)と照らし合わせ、適切な明るさを目指しましょう。照明の数を単純に増やしたり減らしたりするのではなく、コンセプトに沿った光量と配置を検討することが大切です。

可能であれば、照明シミュレーションを活用し、ブースの図面上で照明の効果を確認すると、より確実な計画が立てられます。また、調光機能付きの照明器具を選んでおけば、当日の状況に合わせて明るさを微調整することも可能です。

(2)光のムラ・影ができてしまう

ブース内の照明計画でよくある失敗として、光のムラや不自然な影が生じてしまうことが挙げられます。これは、照明器具の配置が偏っていたり、光源と展示物の距離が適切でなかったりすることが原因です。例えば、一つの方向からのみ強い光を当てると、展示物の形状によっては意図しない濃い影ができてしまい、本来の魅力が伝わりにくくなることがあります。

このような失敗を防ぐためには、まずブース全体を均一に照らす全体照明と、特定の部分を際立たせる演出照明をバランス良く配置することが重要です。さらに、立体的な展示物や装飾が施された壁面などには、単一方向からだけでなく、複数の角度から光を当てることで、影を軽減し、立体感を際立たせることができます。可能であれば、本番で使用する照明器具や展示物を使い、実際のブースに近い環境で光の当たり方を確認することが理想的です。

(3)色味が合っていない・不自然に見える

展示物の素材や本来の色味を正確に伝えられていない場合、せっかくの魅力が半減してしまいます。これは、展示物の特性に合わない色温度の照明を選んでしまったり、演色性(Ra値)の低い照明を使用したりすることが原因で起こります。

例えば、木材や食品といった温かみや自然な色合いを見せたい素材には、電球色や温白色といった暖色系の照明が適しています。一方、金属製品やシャープなデザインを強調したい場合には、昼白色や昼光色といった寒色系の照明が効果的です。特に、アパレルや塗料、化粧品など、色の正確さが重要となる製品を扱う際には、演色性(Ra値)が90以上の高い照明を選ぶことが、展示物の色を不自然に見せず、本来の魅力を最大限に引き出すための鍵となります。

(4)来場者が眩しさを感じる(グレア)

展示会ブースにおいて、来場者が眩しさを感じてしまう「グレア」は、せっかくのブース体験を損ねる大きな要因です。これは、照明器具の光源そのものが直接来場者の視界に入ってしまうことや、照明の角度や位置が悪く、展示物を見ようとした際にまぶしく感じさせてしまうことが原因で発生します。

この失敗を防ぐためには、まず光源の工夫が重要です。直接光源が見えないよう、カバー付きの器具やルーバー付きの器具を使用しましょう。また、間接照明を効果的に活用し、壁面や天井に光を反射させることで、空間全体を柔らかく照らし、まぶしさを軽減できます。

さらに、展示物を照らす際の照明の角度や位置にも注意が必要です。来場者の視線にかからないよう、慎重に調整しましょう。展示物や壁面を照らす場合、来場者側からではなく、ブース内側から照らすように工夫すると、眩しさを効果的に軽減できます。これらの対策により、快適なブース空間を提供し、来場者の満足度を高めることができます。

(5)配線が乱雑で危険・見た目が悪い

展示会ブースにおける配線処理の不備は、来場者やスタッフの安全を脅かすだけでなく、ブース全体の美観を損ねる大きな原因となります。電源ケーブルが通路を横切っていたり、床に無造作に露出していたりすると、つまずき事故のリスクが高まります。また、剥き出しの配線は、せっかく作り込んだブースデザインの質を低下させ、雑然とした印象を与えてしまいます。

このような事態を防ぐためには、ブース設営の初期段階から配線経路を綿密に計画することが不可欠です。来場者の動線やスタッフの作業動線を考慮し、電源ケーブルが安全かつ目立たないように配線する必要があります。ケーブルカバーや配線モールを活用して床面や壁面に固定することで、見た目をすっきりとさせるだけでなく、安全性の向上にも繋がります。ブース施工業者に依頼する際には、配線処理についても事前にしっかりと相談し、安全で美しい仕上がりを実現することが重要です。

(6)会場の規定・ルール違反

展示会では、照明器具の設置場所や高さ、使用できる電力容量などに細かな規定が設けられています。これらの規定を事前に確認せずに、独自の判断で照明を設置してしまうと、ルール違反となり、最悪の場合、展示会への出展が認められない可能性もあります。また、持ち込み可能な照明器具の種類や、電気工事に関する申請手続きを怠った場合も同様です。

こうしたトラブルを防ぐためには、まず各展示会の「出展マニュアル」や「施工規則」などを隅々まで熟読することが不可欠です。不明な点や判断に迷う点があれば、速やかに展示会事務局に問い合わせて確認を取りましょう。ブース施工業者であれば、会場の規定を熟知している場合が多く、ルールに沿った照明計画・設営を行ってくれるため、密に連携を取ることが重要です。

(7)予算オーバー

展示会照明における予算オーバーは、計画段階での詰めの甘さが原因で発生することが少なくありません。まず、照明にかけられる総予算を明確に設定し、その範囲内で最適な器具やプランを選定することが重要です。次に、レンタル会社や施工業者から提出される見積もり内容を詳細に確認し、不明瞭な項目がないか、予期せぬ追加費用が発生しないかを事前にチェックしましょう。

高価な照明器具であっても、それによって得られる集客効果やブランドイメージ向上といったメリットが大きいのであれば、投資する価値がある場合もあります。費用対効果を冷静に判断することが大切です。もし希望する照明器具が予算を大幅に超える場合は、より安価で類似の効果が得られる代替案がないか、専門家と相談することも有効な手段となります。

5. 照明を最大限に活用する!ブースデザイン別テクニック&活用ポイント

照明は、単にブースを明るくするだけでなく、デザイン、コンセプト、そして来場者体験を大きく左右する要素です。ここでは、様々なブースデザインや目的に合わせた照明の活用テクニックと、そのポイントをご紹介します。

(1)サイン看板・ロゴを際立たせる

ブースの「顔」とも言えるサイン看板や企業ロゴは、遠くからでも来場者の目を引くための重要な要素です。これを際立たせるには、いくつかの照明テクニックがあります。

まず、ブースの上部や側面からスポットライトを当てる方法です。光の角度を工夫することで、看板やロゴに立体感や陰影を加え、より印象的に見せることが可能です。

次に、看板やロゴ自体を光らせる内照式サインの活用です。LEDパネルやアクリル加工などを利用すれば、抜群の視認性を確保できます。

さらに、看板の背後にLEDテープライトなどを仕込み、壁面全体を柔らかく照らす間接照明も、高級感のある演出として効果的です。

これらの方法の中から、ブースの形状や設置場所、看板の色や素材感に合わせて、最適な照明方法を選び、ブランドイメージを効果的に伝えましょう。

(2)展示物をドラマチックに見せる

ブースの主役である展示品は、照明によってその魅力を最大限に引き出すことができます。まず、最もアピールしたい製品やサンプルには、狭角のスポットライトをピンポイントで当てることで、一点に視線を集め、ドラマチックな演出を可能にします。

次に、素材感を引き出す光の選び方も重要です。金属製品には、光沢を強調するシャープな光(昼白色など)が効果的です。一方、布製品や木製品には、素材の質感を柔らかく見せる温かみのある光(電球色、温白色など)が適しています。

さらに、球体や複雑な形状の展示物には、単一方向からの強い光ではなく、複数の角度から光を当てることで、意図しない影を軽減し、立体感や細部までしっかりと見せることができます。このように、展示物の「どこを見せたいか」を明確にし、それに合わせて照明の強さ、角度、色を選び、演色性の高い照明を使用して製品本来の色味を正確に伝えることが、魅力を最大限に引き出す鍵となります。

(3)空間に奥行きと広がりを演出する

照明の配置や種類を工夫することで、限られたブース空間を広く、奥行きがあるように見せることが可能です。特に天井が低いブースでは、圧迫感を軽減し、広がりのある印象を与えるためにも、間接照明が重要になります。

例えば、壁面や天井に間接照明を設置すると、光が反射して空間に柔らかさと奥行きが生まれます。さらに、什器の縁や棚の下、床のラインにLEDテープライトを仕込むと、立体感がぐっと増します。

また、ブースの奥を明るく照らすことで、来場者の視線を自然に奥へと誘導できます。入口はあえて明るさを抑えると、奥行きがより際立ちます。

(4)ブース全体に統一感とブランドイメージを付与する

照明の色や質感を統一することは、ブース全体に一貫したメッセージとブランドイメージを伝える上で非常に効果的です。

例えば、企業のブランドカラーに合わせたLED照明を使用したり、特定の色のフィルターをかけたりすることで、ブランドの世界観を視覚的に表現できます。また、ブースの素材感に合わせた照明選びも重要です。木工ブースには温かみのある電球色、メタリックな素材のブースにはシャープな昼白色といったように、素材の特性を引き出す照明を選択することで、空間に調和が生まれます。ブース全体で一貫した色温度の照明を使用することも、空間にまとまりを生み出し、洗練された印象を与えることに繋がります。

ブースのコンセプトやターゲット層に合わせて、最も効果的な照明の色温度や演出方法を選択し、照明器具の配置や明るさもブース全体のデザインと調和するように計画しましょう。

(5)アイキャッチとして大型LEDディスプレイやプロジェクションマッピングを活用する

近年、展示会ブースの注目度を高めるために、映像技術と照明を組み合わせたダイナミックな演出が注目されています。

まず、大型LEDディスプレイの活用です。ブースの壁面や天井に設置することで、製品紹介映像やブランドイメージムービー、あるいはインタラクティブなコンテンツなどを映し出し、来場者の視線を釘付けにします。

次に、プロジェクションマッピングです。これは、ブースの構造物や展示品そのものに映像を投影し、空間全体をデザインされた映像で覆い尽くす、非常にインパクトのある演出手法です。

これらの技術は、映像の内容と照明演出を連動させることで、より没入感のある体験を提供します。そのため、ターゲット層の興味を引くような、クリエイティブで質の高い映像コンテンツを用意することが重要です。また、会場の規定や、機材の設置・撤去に関する要件を事前に確認することも忘れないようにしましょう。

(6)床面や壁面装飾に陰影をつける

単調になりがちな床面や壁面装飾に、照明による陰影を加えることで、デザインに深みと面白みを与えることができます。

例えば、立体的な装飾が施された壁面に対して、斜め上や横からスポットライトを当てることで、美しい陰影が生まれ、装飾がより際立ちます。これにより、視覚的なアクセントとなり、ブース全体のデザイン性を高めることが可能です。

また、床面にも工夫が可能です。床材に埋め込むタイプのLED照明や、床面に設置した照明器具からの光を利用して、床面に模様やグラデーションを作り出す演出も効果的です。これにより、歩くたびに足元で変化する光が、来場者に新鮮な驚きを提供します。

さらに、LEDテープライトを壁や床の段差、コーナー部分に設置することで、光のラインが空間をデザインし、洗練された印象を与えることができます。

ただし、陰影のつけすぎは、かえってブース全体を暗く見せてしまう可能性があるため、全体の明るさとのバランスが重要です。また、床面のライティングは、来場者の安全にも配慮し、つまずきの原因にならないように設置することが大切です。

(7)照明活用を成功させるための追加ポイント

照明効果を最大化するためには、いくつかの追加的なポイントを抑えることが重要です。

そのひとつが「サバンナ効果」と呼ばれる心理効果の活用です。人は本能的に、暗い場所よりも明るい場所へ進みやすい傾向があります。この性質を利用し、ブースの入口よりも奥をやや明るく設定すると、来場者に安心感を与えながら、自然とブースの奥へと誘導しやすくなります。

次に、近年重要視されている省エネと環境配慮です。消費電力が少なく長寿命なLED照明の採用はもちろんのこと、リサイクル可能な素材を使用した照明器具を選ぶことも、企業の環境意識を示す上で有効であり、ブランドイメージ向上にも繋がります。

最後に、照明計画は専門的な知識と経験を要するため、ブース施工業者や照明デザイナーといった専門家への相談を強く推奨します。会場の規定、照明器具の特性、デザイン性、そして予算といった多角的な要素を考慮した、より効果的で安全な照明プランを実現するために、専門家との連携は不可欠です。

まとめ

本記事では、展示会における照明の重要性から、具体的な選び方、活用テクニックまでを網羅的に解説しました。

照明は、ブースの「顔」として集客・視線誘導を担い、製品やブランドの魅力を最大限に引き出す「演出家」となります。成功のためには、展示会の目的、展示物、空間を分析し、照明の種類、配置、色温度まで含めた綿密な計画が不可欠です。

株式会社ストラーツなら、経験豊富なエキスパートが企画から運営までをトータルでサポートし、限られた予算でも効果的な照明演出を実現できます。コストを抑えながらも高品質なブースづくりで、来場者の心をつかむ展示会を支援します。ぜひご相談ください。

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